ジブリの戦うヒロインといえば、「もののけ姫」のキャラクター「サン」。
シシ神の森で育つまでの生い立ちや、人間を憎む理由、アシタカへの恋心まで、
素朴な疑問を主観たっぷりに掘り下げます!
サンってどんなキャラクター?
引用:https://hiroki-suzuki.com/mononokehime
西の西のさらに奥深く、人をよせつけない深い森。
シシ神の森で人間の言葉を話す犬神モロの君に育てられた、狼少女ならぬ犬神少女。
烈火のごとく人間を憎み、ヒロインとは思えないほど身体能力が高く、野性的で狂暴です。
なんせ、ヒロインなのに人の命をつけ狙うんですよ・・・。
恐ろしい土面をつけて、四つ足で走ってくるんですよ、ヒロインなのに。
だけど実はその姿には、彼女の背負う悲しい生い立ちと、大切に守っている森や命を身勝手に奪う人間への、激しい憤りが深く関係しています。
命を投げ打つ覚悟で鎮西のイノシシ王「おつことぬし」と共に戦う決意をした時の、モロへの別れの言葉には、思わず心打たれました。
聡明な犬神モロの愛情を一身に受け、犬神一族としての揺るがぬ誇りと、真っ直ぐな気品と優しさを備える彼女は正に”もののけ姫”ですね。
可愛らしいサンの誕生! 声優はだれ?
引用:https://ameblo.jp/ryujiat1230/entry-11743496636.html
強さを前面に押し出している強烈キャラのサンですが、何故か終始可愛いです。
「その喉切り裂いて。二度と無駄口がたたけぬようにしてやる!」
「そいつをよこせ!八つ裂きにしてやる!」etc・・何とも過激な発言をするのですが、
不思議とどんな時も”可愛いなあ”と思ってみてられます。
その理由を考察してみると・・・・
透明感と可憐さをもつ、あの声。
声優は石田ゆり子さん。
きれいな声どおりの柔らかな雰囲気をもち、いつまでも若々しく美しい、人気女優さんですね。
サン役については賛否両論あるようですが私個人としては、とてもイメージに合っていると思います。
ちなみに、サンはまだ15歳。
憎しみに覆われる中にも、自然に純粋さやあどけなさを感じることが出来るのは、
ジブリヒロインはこうでなくちゃ!という、石田ゆり子さんの役作りのおかげだと思います。
また、物語冒頭に出てくるアシタカの婚約者、カヤを演じているのも石田ゆり子さんなのだそうですよ。
是非、注意して聞いてみてくださいね。
サンが見え隠れしてますから。
サンの生い立ち-サンは何故、犬神モロに育てられたの?-
引用:https://hiroki-suzuki.com/mononokehime
(モロ「森を侵した人間がわが牙を逃れるために投げてよこした赤子がサンだ」
「人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い、可愛い我が娘だ」)
物語中ではモロにより一言で語られていますが、要するに
・・・生贄ですね。
サンは赤子の時に、親に生贄として捧げられ、犬神のモロに育てられたのです。
人として生まれ、人間に捨てられ、人々に裏切られ「もののけ姫」と疎まれる人生。
自分を守ってくれる筈の家族に捨てられ、仲間であるはずの人間の私利私欲で、森に生きる生命や息吹を踏みにじられ、奪われる。
シシ神の森を守護する母(犬)モロの娘として、森に生きる樹木や神々の友として、人間を憎み、許せない気持ちになってしまうのは、ごく当然の流れだといえると思います。
それでもサンが気高く心優しい娘に育ったのは、愛情深いモロお母さんのおかげですね。
(この記事の登場人物、気づけばサン以外はモロばかりで埋まってますね。)
サンがお面を手放さない理由
引用:https://ameblo.jp/oosama-toni/entry-11814598060.html
とてもチャームポイントとは言い難い、サンの不気味な土面。
世の女性でまず“かぶりたい”と思う人はあまりいないでしょう。
サンがお面をかぶる理由は特に語られてはいないようですが、人間(特に女性)が顔を隠す理由として“コンプレックス”が挙げられます。
サンの壮絶な生い立ちから考察する限り「自分が人間であることを否定する」意志の
表れだといえると思います。
また人間との闘いの場や命を懸ける場面でつけるシーンが多いことから、自分自身を鼓舞する意味もきっとあるのでしょう。
お面をかぶることがサンにとっては、人間としての自分を捨て切り、山犬の娘として生まれ変わるための手段なのかもしれませんね。
最初からサン目線でもののけ姫を見ると少し印象が変わりますね。
アシタカへの恋心が芽生えた瞬間
引用:http://ghibli.ririel.com/anime14/
「映画のラストではアシタカのプロポーズに答えている。
監督いわく「(あの後)ふたりはしょっちゅう会っている」。
「ええっ?!
アシタカ、プロポーズしてたの?!
サン、答えてたの?!」
それが私の正直な感想です。
全然気づいておりませんでした。
ええ、全くです。
てっきりラストで恋人関係になったものだとばかり思っていました。
ところで、人間嫌いのサンがいつアシタカに恋をしたのでしょうか?
先ず二人の出会いのシーン。
アシタカは偶然遭遇した犬神一族に敬意をはらいます。
敬意を感じ取った犬神一族は、アシタカを攻撃することなくその場を立ち去りますが、
サンにとっても犬神としての振舞いを行っただけで、特別な感情は見受けられなかったと思います。
次に「もののけ姫」のキャッチコピーでもあるアシタカの名言。
「生きろ。そなたは美しい」が発されたシーン。
この時サンは驚いて飛びのき、その後、重症のアシタカを食おうとしたショウジョウ達から庇うのですが、これは下賤な行動をしようとしたショウジョウ達を止めただけとも取ることができます。
ただ、おそらく山犬でも人間でもない哀れな娘 「もののけ姫」だといわれ続け、人間である自分自身を否定し続けてきたサンにとって、一人の存在として(しかも美しい!)認めて貰えたのは、初めての経験ではなかったのでしょうか。
争い続けるシシ神の森と人間が手を取り合って生きる、そんな道を探せないのかと叫び続けるアシタカの望みは、人間として生まれ森と共に生きるサンの、声に出せない願いでもあったのではないかと思います。
その後、アシタカに付き添って献身的に看病する姿に、好意を感じ取りそうになってしまいますが、そこはまだ“シシ神様が助けたから”という大義名分がありますので、きっとまだまだ揺れてる状態ですね。
そして、キマシタ!(断言)
決定的なのが山犬の兄弟が運んできた、アシタカからのネックレスを受け取るシーン。
「きれい・・・」と呟き首にかけた時に、アシタカの心を受け取ったのだと思います。
結局モノかよ?!
と、男性からの突っ込みが入りそうですが、女心を掴むにはやはり、贈り物が一番なんですね。
その後はもう、いわゆるジェットコースター心理。
全力でたたり神と化したオッコトヌシ様から助けだそうとしてくれたり、
命懸けでシシ神様の首を取り戻そうとしてくれたり、男前すぎて無敵なアシタカに、
プロポーズされて断る理由が無いのも納得です。
作中では結末づけることが出来なかったと宮崎監督のお話にもあるとおり、すべてがリセットされたばかりの2人を取り巻く環境は難しく、生きる世界や価値観の違う二人が、共に生きる道を探すのは簡単なことではないでしょう。
それでもイチ、ジブリファンの私にとっては、2人の幸せな未来を信じて疑わずにはいられません。
アシタカとサンはその後どうなった!?どこよりも詳しいアシタカのすべて
まとめ
引用:amazon
サンの悲しい過去から、アシタカに心を開き愛するまでを掘り下げてきました。
今はまだ、箸を使って食べ物を食べないし、急いでる時は四つ足で走るし、時間とか守りそうにもないし、協調性の欠片もないサンなので、タタラ場女子とキャッキャするなんて、
想像もつかないですが。
アシタカをとおして人間に触れ、人間である自分を少しずつ好きになり、いつか来る遠い未来。
人間を許すことが出来る日が来たら。
本当の意味で犬神の母モロの君のような、森の守護神。
素敵な山犬の姫になるのでしょう。
サンの成長と優しい未来を祝して。