「もののけ姫」といえば、のちに当時の日本映画の興行記録を塗りかえ、あのウォルト・ディズニーカンパニーにも認められた、大作中の超大作!
その知られざる舞台背景について、見どころ満載の情報をお届けします!
「もののけ姫」誕生のきっかけは屋久島にある?!
引用:http://www.pictame.com/tag/シシガミの森
実はこの「もののけ姫」。
当初は現在と全く違う設定だったのですが、宮崎駿監督が構想に行き詰まり、一度すべてをリセットして新しいイマジネーションをうけるために向かったのが「風の谷のナウシカ」で腐海の森のモデルとなった舞台。
太古の森をもつ神秘の島。
「屋久島」。
九州、鹿児島県の南端に位置し、豊かで美しく、迫力あふれる大自然を誇る、日本屈指のパワースポットです。
引用:https://www.south-west.co.jp/yakushima/information/shirataniunsuikyou-trecking.htm
引用:https://gurutabi.gnavi.co.jp/p/p_674/
「もののけ姫」の舞台としても有名な人気観光地「白谷雲水狭」や「太古岩」は世界観をそのまま楽しむことができ、「もののけ姫」のファンならば“ヤックル~~!!!”と叫びたくなること、間違いなし!
“こだま”や“ヤックル”が今にも顔を出しそうな幻想的な雰囲気に、一度足を踏み入れるとつい2度、3度と足を運んでしまいたくなるような、リピーターの絶えない“死ぬまでに一度はいきたい世界遺産”のひとつです。
ただし、なんだか目があっただけで命奪われそうなので、シシガミ様にだけは決して遭遇したくはないですが・・・。
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/e/8a5fc71ba0fcb5158b476e0f30480738
また雨が降ることも多く、台風被害などの災害も多い屋久島では、自然に対する畏敬の念がとても強く、“山に霊力があり、山に神々が住む”と信じられています。
なかでも“巨木”は御神木。
“ヤクシカ”は神の使いとして敬い、大切に守っています。
“シシ神の森”はこうした背景から誕生し、「もののけ姫」が生まれるきっかけとなったのですね。
たたら場は現在も島根県にある?!
「もののけ姫」のタタラ場テンション⤴︎⤴︎⤴︎ pic.twitter.com/RWdjWMPYa6
— 土田刃物店 (@narauko) 2018年1月27日
シシ神の森に生きる神々にとっての宿敵ともいえる”タタラ場の人間ども”の住処。
女領主のエボシ率いる、巨大な製鉄所。
主人公アシタカが初めて目にしたとき「まるで城だな」とつぶやいてしまう、その壮大な姿は、一体どのようにして生まれたのでしょうか?
”出雲大社”や”神話の里”として有名な島根県。
出雲の山奥に1751年から実に170年の長い間、たたらの灯を燃やし続けた「菅谷たたら」というたたら場があります。
出雲は古くより、良質の砂鉄がとれることで知られていました。
劇中でエボシが石火矢と呼ばれる銃を作っていたように、出雲の鉄は当時普及していた
「火縄銃」にも使われていたのです。
「もののけ姫」のなかで鉄を作っているあの建物は、全国でも唯一現存している「菅谷たたら」内の“高殿”をモデルにしていると思われます。
引用:http://www.unnan-kankou.jp/contents/spot/111
たたらの脇を流れる川沿いにはたたら場の神「金小屋神(かねこやのかみ)」が祀ってあり、
小さな祠(ほこら)があるのですが。
この「金子屋神」様、なかなかのひねくれもので、様々な禁忌をもつ神と云われています。
例えば女性嫌いで嫉妬深いため、製鉄が始まると、技術責任者の妻は鉄が出来上がるまで化粧をしなかったりとか・・・
死の戯れを好むため、たたら炉の周辺に死体をつるしておくと、鉄が大量にとれたとか・・・
「ちっちゃいディダラボッチか!」と言いたくなる神様なのですが。
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/e/a3d4db372fbbaee91bc5a85444b8eb23
「もののけ姫」のたたらの世界のなかでも本来は女人禁制のようで、町人たちはこう語っています。
「タタラ場に女がいるなんてなあ。」
「ふつうは鉄を汚すってそりゃ~いやがるもんだ!」
奴隷として売られた娘達や、重症の病気を抱える患者たちが、生きる希望を見つけて明るく
元気に過ごしているタタラ場は、彼らにとって唯一の居場所なのですね。
たたら場で女たらが、たたらを踏んでいるのはナゼ?!
引用:https://hatebu.me/entry/2017/05/27/142111
さて、たたら場といえば製鉄所ということはわかりましたが、炎を舞い上がる巨大な炉の横で、女たちが四日五晩、昼夜を問わず踏み続けるというあの装置。
あの作業は一体、何をしているのでしょうか?
そもそも、鉄を形として作るためには、先ず山に含まれる”砂鉄”をとり、砂鉄を燃やすための”炭”を用意しなければなりません。
そして”炭”をつくるためには“木々”が必要となります。
町人がアシタカに「おれたちの稼業は山をけずるし木を切るからな。
山の主が怒ってな。」
と話す場面がありますが・・・
”山を削って木を切る”なんて、可愛いものではありません。
たたらが最も盛んな時期には1度の操業で、砂鉄採取のために一山が大きく削られ、木炭用の木々を切るために、一山分の山肌が丸裸にされたそうです。
なんと!鉄を作る工程では、一度に二山分の資源を必要とするのです。
その反動はすさまじく、島根県の「菅谷たたら」でも膨大な山を切り崩したため地盤が弱り、大量の土砂が川に流れこんで水質汚染にもつながって、近隣に住む農民とのトラブルも絶えなかったそうです。
他の地より流浪してきた彼らは“怪物”に例えられるなど、怖ろしい存在であったとも云われています。
一方、たたら場で製鉄をするためには、高い技術力と経験。
重労働や灼熱に耐えられるだけの体力も必要でした。
引用:https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/negishi06
山で採れた砂鉄を十分に乾燥させた後、灼熱ともいえるような熱を加え、不純物を取り除いて鉄のみを取り出す。
「たたら場」の女たちは「天秤ふいご」という装置を使って炉の中に風を吹き込み、火の温度を低温に保って不純物の混入を少なくする。
つまり、純度の高い鉄を取り出すことができるよう、何日も何日も、ひたすらたたらを踏んでいたのです。
ちなみに”たたらを踏む”とは、男性でも1時間踏んで2時間休みながら、三日三晩を代わる代わる踏み続けるという重労働。
アシタカが「ここの生活は辛いか?」と、ちょっと心配になったのもうなずけます。
そうして熱を込め、やっとできた“鉄”ですが。
完成する頃には”水が燃える”と表現されるほどの灼熱の塊になります。
とてもじゃないけど取り出せないので、一度製鉄するごとに炉を破壊して、中から鉄を取り出すそうです。
この人間の身長より遥に高い炉も宮崎監督の創作。実際は人間の腰くらいの高さだった。写真は菅谷たたら内部に復元された炉。男たちが何かを入れていたけど、あれは原材料の砂金。 #もののけ姫 #金曜ロードショー pic.twitter.com/vXVg5b53pE
— キャッスル (@castle_gtm) 2016年8月5日
えっ?!
あの巨大な炉、毎回壊して毎回作ってるんでしょうか。
ちょっと労災、必要じゃありませんか?
何はともあれ、最高の技術者集団とも称えられる”たたらの仕事”。
深く考えたことはありませんでしたが、莫大な資源を必要としていたとは驚きでした。
山を大規模に削り、土砂の傷跡を今でも残してしまっている”菅谷たたら”ですが、操業を停止した現在では「もののけ姫」のエンディングのように、長い時間をかけて豊かな自然が蘇ってきています。
自然に資源を少しだけお借りする気持ち、自然に生かしてもらっている気持ちをいつまでも忘れずにいたいですね。
アシタカの旅路。旅した場所はまさかの?!
引用:http://mangaku.hatenadiary.jp/?page=1448457770
シシ神の森「屋久島」。
たたら場のモデル「菅谷たたら」。
その他にも、アシタカの出身地「エミシの村」のモデルは秋田県の「白神山地」であるといわれています。
「白神山地」の山々には、他の森林に多くみられるスギやヒノキではなく、原生的なブナの木の生い茂る、昔ながらの森の姿をみることができます。
冒頭、異様な雰囲気のなかでタタリ神がなぎ倒していたのが、おそらく他でもない”ブナの木”だったのですね。
引用:https://icotto.jp/presses/6826
人の手がほとんど入っておらず、高い保水力をもつブナから湧き出す水が豊かで、どこか優しく神秘的な雰囲気をもつ「白神山地」は「屋久島」と同じ、世界遺産です。
「こだま」の存在を知っていたアシタカの故郷「エミシの村」にも、きっと「こだま」が住んでいたのですね。
最北は”秋田県”から最南は”離島”まで、日本全土にモデルをもつ「もののけ姫」ですが、劇中、アシタカが移動したのは”東と北の果ての地”より”西の西の山奥のまた山奥”までですね。
さて、その舞台について最後に考察してみましょう。
鎮西のおっことぬし様は、海を渡ってやってきました。
引用:http://ryo-shitsuke.com/princessmononoke/
鎮西とは、九州のことを指します。
つまりアシタカは、本州を渡ってはいないのです。
と、いうことはやはりシシ神の森は”出雲”や”たたら場”のある島根県あたり。
アシタカはなんと!
東北地方の”秋田県”あたりから中国地方の”島根県”まで、ヤックルと一緒にはるばる旅をしてきたのですね。
東海道中膝栗毛も真っ青です!
アシタカ、ヤックル、本当に長旅、ご苦労様でした!!!