「もののけ姫」で一番気になるキャラクターといえば「ししがみ」。
一体正体は何なのか?!最後は森と共に滅びたのか?!
その不気味で謎すぎるキャラクターに迫ってみました!
【そのキャラクターの名は、ししがみ】
引用:https://www.cinra.net/news/2013/03/05/153419
太古よりの大きな姿のまま、神々が生きる“ししがみの森”の最高神。
木立をイメージしたという、雄々しい角。
お面をかぶっているかのような、人面のような、不思議な顔面。
豊かな毛で覆われた鹿の身体。
3つの蹄(ひづめ)をもつ、鳥のような脚。
その首に不老不死の力をもつとも云われている、命を司る神。
登場回数は後半に集中しており、そんなに多くない気がするのですが・・・
一度見たら忘れられない、なんとも強烈な存在です。
昼はRPGでいうところの、魔法を使うやっかいな敵キャラクターのような動物の姿。
夜になると、森を半分覆ってしまいそうなほど巨大で(完全にラスボスです)、不可解な模様をつけた“ディタラボッチ”という半透明な姿に変貌します。
また、生命を司るだけあって、ししがみ様自身も月の満ち欠けと共に誕生と死を繰り返します。
命を与えるだけではなく、時と場合によっては奪い去ったりもする、敵には回したくない神様です。
そんなことしそうなワルイ顔ではないんですけどね。
【あれ?ししがみ様の声は???】
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/e/24f4690ef436a1511653cd89237f3a15
もののけ姫の劇中、一度も声を発することのなかった、ししがみ様ですが、果たして声帯はお持ちなのでしょうか?
姿形を変えるときも静かに、吸い込まれるように変貌してましたし、たたり神と化してしまったオッコトヌシ様の命を奪う時にも、鼻先に軽く触れただけでしたね。
何よりきわめつけは・・・不老不死の力を狙った、自分勝手な”私欲代表”の天朝様(帝)の勅令で、手を組んだジコ坊とエボシが、ししがみ様を捉えたあの瞬間。
首を吹っ飛ばされたあの!!!衝撃シーン。
あの時ですらも“ヴ”とも“キャン”とも聞こえないどころか、無表情。
もののけ姫の中でも一番、コワかった場面ではないでしょうか。
そもそも、ししがみ様は森の命を管理するために在る存在なので、きっと声や感情は必要ないんですね。
あの顔が怒りでゆがみ「黙れ小僧!」なんて一喝された日には、ソッコーで死んだふりするでしょう。
もしかしたら命果てるとき、オッコトヌシ様は心で、ししがみ様の声を聞いたのかもしれませんね。
【誕生秘話】ししがみ様にはモデルはいるの?
引用:https://prcm.jp/album/ghibli513/pic/38594073
初登場では、眩い光の中、凛々しくも神秘的なシルエットで登場した、ししがみ様。
アシタカの呪いを和らげ、甲六達の傷を癒したあのお方が、何故にあんなに不気味なお姿になってしまったのでしょうか。
この記事の冒頭でも案内していますが、ししがみ様は昼と夜、二つのお姿をお持ちです。
「もののけ姫」の構想の舞台が屋久島であり、島に生息している“ヤクシカ”が「神々の使い」とされていることからも、昼の「動物姿」のベースは、おそらくこの「ヤクシカ」からヒントを得ていると思われます。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤクシカ
最高神らしさを追求して色々足したところ、最終的にたどりついちゃったのが、動物+日本神話の神々を彷彿とさせるような、あのお姿なのでしょう。
もうちょっと引いても良かったのかもしれませんが、畏怖という面では”あっぱれ”の一言に尽きますね。
一方、夜になると森をパトロールする「ディダラボッチ」には、明確なモデルがいるようです。
引用:https://matome.naver.jp/odai/2143879320155138201/2143879599756272003
キャラクターの名は「ダイダラボッチ」。
分かりやすく一文字違いですね。
日本の各地で言い伝えられている巨人というと、ほぼこの「ダイダラボッチ」らしく(名前の呼び方は地域によって違いがあるようですが)、とにかく砂遊びが好きなのか、山や湖を作ったという伝承が多く残されているそうです。
なんとあの“富士山を作った”とか、“富士山を作るために、土を掘った跡地が琵琶湖になった”との武勇伝もあるそうですよ。
もしかしたら、ししがみの森も、最初はディダラボッチが土を運んで土台を作り、ししがみ様が歩き回って木を植え、誕生したのかもしれませんね。
【結局、神様なの?破壊神なの?!ししがみ様の正体!】
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/e/24f4690ef436a1511653cd89237f3a15
たやすく触れてはならないような、圧倒的なインパクト。
手を出せば無事ではすまされないような、不思議な威圧感。
それが命を司る“ししがみ”という神。
他のブログやサイトを見ても”怖い”や”不気味”という感想ばかりで、”ししがみファン”という声を目にすることはありません。
確かに、可愛らしくて優しそうな神様に命を奪われたら、なんだか裏切られたような気分になりますよね。
では、その謎めいた神様の正体を突き止めて行くと、結局は何なのでしょうか。
ウィキペディアでは“夜そのもの”との紹介もありますが、私としては“森そのもの”だと思っています。
「自然の脅威を前に、人は逆らうことが出来ない」とは、よく知られた言葉です。
自然の生命の息吹を軽んじ、自然に生かされていることを忘れてしまった人間が、森そのものである、ししがみ様を殺してしまったことで、ししがみ様と共に一度は森も滅びてしまいました。
サンが最後に絶望のセリフを口にしたのは、そのためでしょう。
神という存在に手を出してはならない。
畏れを忘れてはならない。
それを形にした存在がまさに「ししがみ様」なのだと思います。
【ししがみ様、最後のシーンの考察】
鎮まりたまえシシ神
(アシタカ)シシ神よ――
首をお返しする 鎮(しず)まりたまえ!#ディダラボッチ #シシ神 pic.twitter.com/VfbW05arAx— ミアちゃん@金曜ロードSHOW! 公式 (@kinro_ntv) 2016年8月5日
物語のラスト、アシタカとサンの手により首を取り戻し、花咲じいさんとなって朝日と共に姿を消した、ししがみ様ですが、果たしてサンの言うように、ししがみ様は死んでしまったのでしょうか?
アシタカは言います。
「ししがみ様は死にはしないよ。
生命そのものだから・・・生と死をふたつとも持っているもの。」
そうですね。
もしかしたら次の新月の夜、ししがみの森の神としてではなく、ししがみの大地の神として、生まれ変わって誕生するのではないでしょうか。
だって、首もギリギリ朝日を浴びる前に取り返せましたもの。
ディダラボッチの恨みなのか、タタリ神の液をアシタカとサンに降り注いでましたが、最後には「生きろ」と赦してくれてましたもの。
神というのは、おそろしく寛容で、偉大な存在なのです。
【まとめ】
引用:amazon
森VS人間。
「もののけ姫」が投げかけている課題の中でも、最重キャラクターである「ししがみ様」。
ししがみの森で生きる、生命を持つもの全てにとっての”救い”であり、”戒め”であるというその存在がもたらす意味というのは、とても深く、とても考えさせられるものです。
どちらかの勝利ではなく共存を求め新しい道を歩き出す、愚かでちっぽけな人間たちが再び踏み外すことのないよう、ししがみ様は変わらず傍で見守ってくれるのでしょう。
ジコ坊とエボシはさすがに懲りたようですが、願わくば天朝様(帝)にも心を入れ替えてくれるよう、切に願うばかりです。