「もののけ姫」で一番悲しい思いをしたキャラクターは「カヤ」?!
視聴者がなぜ同情を誘われたのか。その理由を徹底的に紐解いていきます!
カヤって何者?
引用:https://prcm.jp/album/7emmnrsy7/pic/18675281
はるか東の果ての地。
大和朝廷の牙を逃れるために一族が隠れ住む「エミシの村」で主人公「アシタカ」と共に育った少女。
年は13歳くらい。
アシタカを「あにさま」と呼び慕っていますが、兄妹ではありません。
どうやら古い昔の日本の村々では、
自分より目上のお兄さんやお姉さんを「あにさま」「あねさま」と呼ぶ風習があったそうです。
まさに「人類、みな兄弟」ですね。
冒頭のシーン、もみあげを伸ばしたちびまる子ちゃんのような髪型に、民族衣装のようなとんがったカラフルな笠をかぶって、同じ格好をした3人娘の内の一人として登場します。
引用:https://prcm.jp/album/7emmnrsy7/pic/18763185
三つ子ちゃんかと思いましたが、それぞれ顔は違いますね。
一番眉毛が凛々しいのが「カヤ」です。
ちなみに調べてみてビックリしたのですが「えみし」という言葉も実在していたようです。
もののけ姫のアシタカ旅立ちのシーンが一番好きじゃ…(4年前のイラストですが) pic.twitter.com/PfzS8afwww
— 飴村 (@amemura) 2016年8月5日
漢字では「蝦夷」。
そう。
社会科の授業で一度は目にしたことがあるでしょう。
「えぞ」は北海道に住む人々のことですが、「えみし」は日本の中央政権からみて、東方や北方の総称。
つまり、富士山から東側。
朝廷の勢力が届かない未開の土地に住む、人々の呼称だったそうです。
「えみし」には強くて勇敢という語感もあったそうで、ジコ坊の語る“東の果てにアカシシにまたがり石の矢じりを使う、勇壮なるエミシの一族あり”という、いにしえの民を語る古い書も、実存していそうな気になってしまいますね。
カヤの声に隠された秘密‼声優はなんと!?
引用:http://blog.livedoor.jp/tanusov/archives/1419938.html
カヤの登場シーンというと、物語の冒頭のみしかありません。
ですが、その声。
物語の最後の最後まで聞くことができます。
どういうことかというと・・・
「もののけ姫」のヒロイン「サン」と「カヤ」の声優さんは同じ。
石田ゆり子さんが一人二役を演じているのです。
あの涼やかな声を最初から最後まで聞けるなんて、贅沢ですよね。
サンでは演じることのない、アシタカへの切ない想い。
何度も何度もリテイクして、情感たっぷりに仕上がった2人の別れのシーンは、背景を知ってもう一度見てみると、カヤの想いと覚悟に胸が痛むこと間違いなしです。
もののけ姫のキャラクター サンの生い立ちは壮絶だった…!?2
カヤはアシタカの元恋人?!
引用:https://history-wisdom.net/war/tohoku-emishi/
ではそもそも、兄妹ではない「アシタカ」と「カヤ」の関係は一体何だったのでしょうか?
実は二人は現代でいう「婚約者」でした。
東の奥地でひっそりと暮らす「エミシの村」の子孫の血を絶やさぬよう、村に定められた
許嫁という関係だったのです。
カヤは幼い頃よりアシタカだけを見つめ、一途に想ってきたのですね。
アシタカが長になると信じ、別れがくることなど夢にも思わなかったのでしょう。
危険なタタリ神との闘いの時にも、盾をもつ村の男たちの前線で心配そうに見守り、
手傷を負ったアシタカに、真っ先に駆け寄ったのもカヤでした。
自分達を庇ってタタリ神の呪いを受けてしまったアシタカ。
男達にとって命ともいえる髷(まげ)を断髪し、二度と村へ戻ることは出来なくなってしまったアシタカ。
カヤはどんな思いでいたのでしょうか。
愛する人を傷つけてしまった、深い悲しみと苦しみを思うと、とてもやりきれない気持ちになってしまいますね。
カヤのお守りには深~い意味がある?!
引用:http://blog.livedoor.jp/tanusov/archives/1419938.html
タタリ神より受けた呪いを解く方法を探すため、西の土地へとアシタカが旅立つ夜。
後に、物議をかもし出すあの”玉の小刀(ぎょくのこがたな)のネックレス”を、カヤはアシタカへ贈ります。
アシタカの反応をみても、おそらく相当に貴重な品だったのでしょう。
小刀にあしらわれている「玉」は「黒曜石」。
今でもパワーストーンとして人気が高く、古来より重宝されています。
引用:https://www14.myssl.jp/www.matoi-stone.com/web/sibakari/sibakari_top.html
カヤは知っていたのでしょう。
”強力な魔除けの意味と効力。”
”持ち主を新天地へと導き、迷いや悲しみを断ち切る手助けをしてくれる力。”
”悲しみを和らげる意味のあるヒーリング効果”
”持ち主の弱点を克服するお守り。”
沢山の力をもつ、不思議な石の価値を。
アシタカが無事であるよう、小刀がアシタカを守ってくれるよう、精一杯の祈りをこめて。
心のこもった最後の贈り物を、アシタカはしっかりと受け取ります。
また、カヤの贈ったネックレスが”小刀”であったことにも理由があります。
エミシの村のならわしとして、未婚の女性が守り刀を男性に渡すという行為は、変わらぬ心の証という意味がありました。
「いつもいつもカヤはあにさまを想っています。きっと・・・。きっと・・・!!!」
この言葉には、アシタカへの生涯変わらぬ愛を誓う、カヤの心そのものが込められていたのですね。
カヤとサン
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/c/8129efb80fbe21096f614bf01dd3f2e1
なんということでしょう!
カヤの真心のこもった”玉の小刀のネックレス”は、アシタカの手より、あっさりヒロイン「サン」の手へと渡ってしまいます。
しかも、贈った小刀でサンはアシタカをぶっ刺すという。
お守りもへったくれもありません。
「ア~シ~タ~カ~!!!」と怒りの声が聞こえてきそうですが、それはそれ。
アシタカにもそれなりの事情と思うところがあったのでしょうから、それはまた別の機会に掘り下げるとして・・・。
一見、奥ゆかしく健気な娘のような印象を受けるカヤですが、実は冒頭の”タタリ神”から追われるシーン。
よくよく見てみると、タタリ神が自分たちの方へ向かってくると気づいた瞬間。
2人の娘は驚き怯えた反応を見せますが、カヤは一人、表情をひきしめて「村へ!」と女の子達を促します。
引用:http://gensun.org/pid/60735
彼女達の最後尾を走り、女の子一人がこけてしまった時にも「しっかり!」と声を掛けて刀を抜き、2人を庇って前に立つのです。
カヤは本来、責任感が強く、しっかりした長女のような存在だったのでしょう。
さすがは次期、長のアシタカを支えるために選ばれた娘ですね。
賢く芯が強く、心優しいカヤ。
アシタカはサンの中に、カヤの面影を見たのかもしれません。
カヤはその後、どうなったの?!
引用:https://blog.goo.ne.jp/rshijima/e/ea33607f944f14ffd21a537f34227beb
カヤはアシタカを手に入れたかったわけではありません。
アシタカを慕い、二度と会えないことを分かっていながら、ただただ無事で・・・
どこかで幸せに暮らしていることを願っているのです。
たとえ自分が祈りを込めた小刀が、サンの手に渡ろうと。
たとえアシタカが”俺の嫁”とサンを連れて故郷に戻ってきたとしても・・・?
アシタカがそう決めたのなら尊重し従う、古き良き日本女性なのだと思います。
若者の少ないエミシの村ではカヤの意志と反し、きっと次の婚姻の話が持ち上がることでしょう。
責任感の強いカヤは、最初は抵抗しても、村のため、血のため、きっと嫁がざるを得なくなると思います。
沢山の子供たちに囲まれ良妻賢母となるカヤは、アシタカの勇姿と生き様を物語として、子供たちに話し聞かせるのかもしれませんね。